2010年7月2日金曜日

全体最適と部分最適

ついつい部分に目がいってしまうが、全体最適を心がけていないと無駄が多くなる。
詳細(Detail)を詰めることでは最適な全体(Whole)にはならない。以下の物語が一例となるであろう。

A君とB君が、道具を使用しないで長い直線を地面に描けるか競争した。
 A君のとったやり方は、最初に自分の片方の足を地面に置いて基準にし、次にもう一方の足をその延長線上の直線にくるように置き、さらにその延長線上に最初の足を置く、というころ繰り返すことであった。
長い直線を描く為には、短い直線を正確につないでいけばいいという考えである。
 一方B君はというと、初めは周囲を見回して何かを探しているようであったが、やがて動きが止まり、足元も見ないで前進しだした。
 さて、二人の結果を比べてみると、A君は部分的に直線になっているところもあるが、全体としては直線とはいけないようなくねくねと曲がった線になっていた。それに対してB君は細かく見ると多少の揺らぎはあっても全体としてみるとほぼまっすぐになっていた。
 不思議に思ったA君が訪ねた。「何故君は足元も見ないでそんなまっすぐな線が描けたんだい?」B君は遠くに見えている森の方を指さしながら答えた。「僕はあの森の一番高い木だけを見て前進しながら線を引いたんだ」

A君は部分最適を考え、狭い範囲ではB君よりもよりまっすぐな線を引いた。B君は全体最適を考え、狭い範囲は犠牲になるとしても大きな範囲ではA君とは比較にならないほどまっすぐな線を引いた。

詳細は全体と同じくらいに大切であるが、全体を忘れての詳細は無駄が増えたり、方向性が不正確になって歪んでしまったり、と努力が報われないことになってしまう。

1)周囲に目印となるものが見当たらない場合や、直線を引く方向が定められている場合の全体最適な解法には上記エピソードとは別の手段が必要となるが、部分最適な方法は「部分的な直線の延長は全体としても直線」が厳密に正しくてその通りに実行できる限りにおいては、いつも同じでやり方でよいと期待しうる。

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