2010年7月2日金曜日

UnBoundな仕事は危険

現象:
 A社では仕事の範囲が不明確なままで作業をすることがあり、後になってから作業の手戻りが発生したり、成果の一部が無駄になったり、人員などのリソースの計画が後手に回ることが多い。

定義:
 仕事の範囲がはっきりしない状況でも取りかからざるを得ないことがある。特に研究開発や提案型の場合には顕著である。これを、「UnBound(境界がはっきりしない)な仕事」と定義する。
 ここで考えている境界とは、以下のものを指す。
1)責任:どこまでが自分の仕事か
2)期限:いつまでにやり終える必要があるか
3)費用:いくらまで資金を投入してよいか
4)仕様:受け入れ承認されるか基準は何か
・機能:何ができる必要があるか
・性能:どれくらいの成績を必要とするか
・使用:使い勝手、習得コスト
・信頼:耐障害性、復旧時間
・保守:管理、修正、運用

分析:
 UnBoundな仕事が危険なのは、部分的にはそれなりの事が出来たとしても、全体としての境界があいまいなため、以下のような問題が発生することである。
1)仕様定義や完成基準があいまいなため作業が完了できない
2)期限が不明確なため、作業が間延びする(意識が集中せず散漫になる)
3)費用が未定のため、リソースをかけられない
4)責任分担が不明確なため、作業の見落としがあっても気付きにくい

対策:(*2)
 不正確でもよいのでまず「決める」ことが大切である。(*1)
 決めた範囲で最善を尽くす。
 結果を確認し、決めたことが適切かどうかを評価する。
 評価の結果で「決めなおす」ことは最初に戻り、それ以外なら対応する処置をする。


*1)マグロ舟の船長が教えてくれた、マグロ漁で一番大切なことは、「決める」こと。
 マグロがどこにいるかは、長年の経験があっても誰も分からない。いい場所を見つけてから移動しようと研究や調査をすることより、あそこに行ってみようと決めて、実際にやってみることが大切。もし決めた場所が適切でない場合は次の場所を決めればよい。
[会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ:齊藤 正明]

*2)書いていて気付いたが、これはPDCAサイクルだ。
 PDCAとは[P]lan,[D]o,[C]heck,[A]ct の頭文字であり、生産管理や品質管理などの手法である。
 CheckとActをSeeにまとめた「PDS」や、CheckをStudyとして「PDSA」という場合もある。

0 件のコメント: